解決志向アプローチで、子どもの目標をブラッシュアップする学級経営法!!

学級運営

こんにちは。

学校で子どもたちに関わる時に、カウンセリングの理論や技法が大変役に立つのですが、特に効果的だといわれているものが、解決志向アプローチです。

解決志向アプローチとは、悩みや問題に焦点を当てずに解決そのものに焦点を当てていくことが最大の特徴だそうです。

今回は、その解決志向アプローチに詳しいカウンセラーの半田さんから寄稿いただきました。
学級経営に役立つ方法を紹介していただきます。



解決志向アプローチとは

一般的なカウンセリングでは、相談に来た人(クライエント)の悩みや問題に注目します。

そして、悩みや問題の背景となっている要因をカウンセラーとクライエントが一緒に探っていきます。

まずは、要因を見つけて、問題や悩みについて、クライエント自身が理解することが大切です。

そして、その要因に適切に対処することで、症状や悩みを軽減し、 問題を取り除いていくことを目指すのです。

一方、解決志向アプローチでは、クライエントの持つ問題ではなく、元々持っているリソース(資源・資質)に注目します。

そして、それを活かし、クライエントが求めているより良い状態や快適な状態、つまり望ましい自分自身を明確にしていきます。

それを通して、クライエントは自然とより良い状態や快適な状態、望ましい自分自身に近づいていくと考えられています。

解決志向アプローチの考え方については以下のリンク先をご参照ください。

解決志向アプローチを知ろう
カウンセリングの短期療法の一つである解決志向アプローチ(ソリューションフォーカスアプローチ)の概要を解説。クライエントこそ専門家であるという姿勢を大切にしています。解決像、リソース、例外など、特有の概念があります。

何よりも解決像が大切

こんなふうに解決志向アプローチでは、問題やその要因ではなく、望ましい自分自身の状態を大切にします。

この望ましい自分自身の状態を「解決像」と呼びます。

解決像が具体的になることを、極めて大切にしています。

よくあることですが、困っているとき、悩んでいるときには、「どうしたいか?」「どうなりたいか?」が分からなくなってしまうことがあります。

そうなると、どうしたら良いか全く分からなくなってしまって、考えれば考えるほど悩みが深くなってしまうがちです。

そうではなくて、「どうしたいか?」「どうなりたいか?」に焦点を当てて、考えて行くことが解決志向アプローチの最大の特徴なのです。

その「どうしたいか?」「どうなりたいか?」ということを、解決志向アプローチでは「解決像」と呼びます。

そして、良い解決像が持つことが、悩みや問題の解決には何よりも大切なのです。

良い解決像とは

では、「良い解決像」とはどのようなものでしょうか?

それは、次の3点にまとめられます。

1.他人や状況のことではなく、自分自身のことである。
2.否定形ではなく、肯定形の言葉になっている。
3.「したい」(願望)や「しなければならない」(義務)ではなく、「している」「する」という表現になっている。

たとえば、クラスの子どもが1学期の目標として、「先生に叱られないようにしたい」という目標を立てたとします。

この目標は、解決志向アプローチの観点から考えると、まだまだブラッシュアップしていけます。

叱るのは先生ですから、これは自分自身のことではありません。また、「叱られないように」という否定形になっています。

しかも、最後は「したい」という願望で終わっています。

せっかく目標を立てるわけですので、解決志向アプローチに基づいて良い解決像と言える目標をたてることができたら良いと思います。

この目標をブラッシュアップすると、「自分からおはようと言うようにして、○○君と仲良くする」という目標を立てることができるかもしれません。

そうすれば、「先生に叱られないようにしたい」という目標を立てたときよりも、○○と仲良くできて、先生から叱られる回数が減って、ほめられることも多くなるかもしれません。

目標をブラッシュアップできるように声かけをする

子どもたちが、良い目標を立てられるためには、ただ目標を立てるように指導するだけでは不十分です。

まずは、学期の目標を立てる時間には、解決志向アプローチの「良い解決像」の3つの条件を解説します。

その上で、まずは自分で作業をさせて、自分なりの目標を下書きさせます。

下書きの目標ができた人から個別に点検します。

その時に、少しやり取りをして「良い解決像」を引き出すように投げかけます。

自分自身の事ではない場合
その時自分はどうしているか?、または、そのために自分は何をするのか?を問いかけます。
否定形の場合
否定形の内容をしないかわりに、自分はどんなことをしているか?を問いかけます。
願望や義務の場合
「したい」や「ねばらならい」は、気持ちや決まりだから目標ではなく、「~する」というのが目標だと説明します。

具体例に沿って考えると

「先生に叱られないようにしたい」という例に沿って考えます。

まず、「先生が叱らないようにするには、あなた自身は何をしていると思う?」などと問いかけます。

子どもが「ケンカをしない」と答えたとします。さらに、「ケンカをするかわりに、どんなことをしてると思う?」と問いかけます。

「仲良くしている」などという答えが返ってくるかもしれません。

「仲良くする」というのは、自分自身のことだけではなく、相手も仲良くしてくれることが必要です。

自分自身のことを引き出すために、「仲良くするために、あなた自身は何をしていると思う?」などと問いかけます。それに答えて、「自分からおはようとあいさつする」という答えが返ってくるかもしれません。

こういったやりとりから、出てきたことをまとめると、「自分からおはようと言うようにして、○○君と仲良くする」という目標ができあがります。

まとめ

目標を立てる時に、解決志向アプローチに基づく「良い解決像」に当てはまるような目標を立てることができると、実現の可能性が高まります。

子どもと対話をしながら、自分自身のことで、肯定形の言葉で「~する」などと明確に表現できるように、子どもの気持ちや考えを引き出していくことが大切です。

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